19. 心の奥底で母を恐れていたわたし

19. 心の奥底で母を恐れていたわたし

昨今の学習塾は、規模の大小を問わず、教務力つまり、授業のわかりやすさだけでは生き残れない。
差別化を図るために、開校2年目だし、何かイベントをやってみたかった。

「お茶会ってどうですか?女性なら集まりやすいと思いますけど」
「あ、いいですね。この辺の個人塾の先生って男性ばかりだから、お茶会なんてまずやらないでしょうし。そうだ、うちは庭がかなり広いんです。母がいろんな花を植えています。ガーデンパーティやったら素敵ですよね。母とコラボかあ~」
「いいですね~ガーデンパーティ。お母さんとコラボできるし。いつやりますか?」
「え~と、できれば桜が散らないうちにやりたいですね。でも、母に言えるか自信がありません」

このころまだ母が怖かった。私には、母に抱きついたり、手をつなぎに行ったりした記憶がない。本当に必要なものなら1週間ほど母の様子をうかがい、機嫌のよいタイミングを見計らっていうのが慣例だった。私が選ぶ服からはじまり、就職先、彼氏にまでケチをつけるようになった。私がいいと思うことに母は賛同してくれない・・・。
私は、これ以上傷つきたくなかった。
できれば、この母とは物理的にも精神的にも距離を置きたいと思っていたのだ。
その2週間後のコーチングの時も、まだ母に切り出せていなかった。
早く言わなければ、春の花の時期が過ぎてしまう・・・・。

あるの日の昼下がり、いつものように庭仕事をしている母に何気ないふりをして近づいてみた。いきなり本題は話せなくて、この花は何という名前なのかとか、いつ頃まで咲くのかとか他愛もなさすぎてかえって不自然なやり取りをしばらくしていた。

「あのう・・・・この庭に・・・・生徒のお母さんたち呼んでガーデンパーティやりたいんですけど・・」前説30分。やっとガーデンパーティの話をすることができた。なんて返されるだろうかと内心びくびくしていた。

ところが、「あんた、早くしないと花の時期終わっちゃうよ!」意外だった。
母は昔のような鬼の形相ではなかった。

信じられない。やってもいいってこと?!
それまでずっと、また否定的なことを言われるのではないかと思って胃が痛かったのだが、その痛みは、すうっと消えてしまった。私がいいと思うことに、母は賛同してくれない、というブロックが、このときはずれた。

翌日早々に、ホームセンターへ二人で新しい花の苗を買いにも出かけた。今まではいくぶん怖い存在だった母とあれがかわいい、これがきれいだなどと花の苗を選ぶのは、とても楽しく新鮮だった。

コーチングを通して、知識や技能の提供ばかりが学びではないと、改めて感じた。
堀口さんの承認を支えに、勇気をもって行動することができた。動いた先には必ず学びがある。自信が生まれるから恐れない、流されない自分になれる。

ひとみずむ19 AYAKA フルバージョンPDFはこちら

Comments are closed.